ネパール・チベット珍紀行

ヒマラヤとタルチョー

 

いつか行ってみたい、チベット地方。
いつか見てみたい、聖なる山・カイラス山。

その旅行記を見つけたので、読んでみました。

 

「ネパール・チベット珍紀行」

ピーター・サマヴィル・ラージ 著
大出 健 訳
1990年
心交社 出版

 

ネパール・チベット珍紀行

 

 

目次

チベットの教え

 

この紀行文の主人公は、66歳のアイルランド人男性・ピーターと、
中国語が話せる姪っ子、20歳のフィリッパ。

「ヤクに乗ってヒマラヤを巡りたい」といって
エベレストの入口、ナムチェから旅ははじまり、

「香港でとったビザだけど、見つかったら強制送還かも」
と、どきどきしながら、ヒッチハイクをして
ラサからカイラス山へ。

そして、無事にネパールへ戻ってくるまでの珍道記。

 

わたしが一番印象に残ったのは、
ラサからカイラス山に向かう途中、ゲルツェのあたりでの出来事。

 

小川のそばで休憩することになり、みんなトラックから降りた。
「魚をとってきます」
通訳の男が言った。
砂と岩しかない荒野の中で、小川の淵にだけうっすらと緑の草が生えていた。
4人の男が100メートルほど先に行き、小川に入るとあわてて飛び出してきた。
突然、ものすごい爆発音とともに水しぶきが上がった。
ダイナマイトを爆発させたのだ。

水しぶきがおさまると、中国人は膝までズボンをまくり上げ、
冷たい小川に入って、死んだ魚を拾い上げた。
バケツ一杯のマスが取れた。
彼らはすぐにはらわたをとり、携帯用石油コンロにフライパンを乗せて焼いた。

フィリッパもわたしも、魚というのは毛針で釣るもので、
それ以外は邪道だと思っていた。
以前わたしは、マスク湖で高尚な釣りを楽しんだことがあったし、
フィリッパもディー川で釣り竿と格闘したことがあった。
しかし、ここではその意見をひとまず棚に上げて、マスをご馳走になった。
チベット人は参加しなかった。

「愚かな奴らです」
通訳の男が言った。
「なんでああも、昔からの習慣にこだわるんですかね?」

チベット仏教では輪廻転生が信じられており、
肉体が滅びても魂はまた何かに宿るとされている。
そのため彼らは、たとえ魚でも誰かの生まれ変わりに違いないと手を付けないのだ。
ヤクや羊を食用に殺すことはあっても、
小さな生き物を殺すことはめったにない。
ヤクなら1頭で多くの人の腹を満たすことができるが、
魚なら何匹も殺さなければならないからだ。
つまり、それは奪う命の数の問題で、
少ない方がよいと考えているからだった。
湖や川に魚があふれているのも、
荒野や山にウサギやガゼルがたくさんいるのも、
湖のそばや空に鳥が群れをなしているのも、
すべてその考えがあるためなのだ。

水は神聖なものだと思われているので、
チベット人は特に魚には手を出さない。

スペンサー・チャップマンは、政府を通して正式にチベットを訪問したため、
釣りができなかったと嘆いている。
「水は何よりも聖なるものとして考えられている。
 そこにいる魚は、姿は魚でも、
 ラマ僧の魂が一時的に宿っているかもしれないので
 危害を加えてはいけないというのだ」

ハインリヒ・ハラーは、
ピクニックに行っても蟻を殺さないように気をつけ、
ハエがお茶の中に落ちないように注意している、
チベット人の生と死に関する考え方に感動した。
「彼らは、冬には湖の氷を割って魚が凍死しないようにし、
 夏には湖が干上がる前に魚をすくい上げている。
 かわいそうな魚を、おけやブリキの容器に入れて、
 湖に戻れるようになるまで世話をするのだ」

(P246~247)

 

チベットの教えの一端が、
なるほどよくわかるエピソードだなぁ、
と思いました。

 

カイラス山

この山がカイラス山。
仏さまが住まう山と言われています。

 

カイラス山の地図

カイラス山は、チベットの西~・・・の方にあります。
首都ラサからは、1,200kmも離れているそうです。
だいたい東京-福岡くらいだって(遠っ!)

 

 

生きとし生けるものがみな幸せでありますように

 

チベット、というと、
秘境、神秘的、というイメージかしら。

わたしもシンギングボウルに出会うまでは、
あまり馴染みのないお国でした。

 

1950年代に、中国に占領された。
迫害を受けている。
ネパールや北インドに亡命している、難民である。
「チベット 死者の書」を読んだことがあるけど、
よくわからなかった(笑)

そのくらいの知識しかなくて、
調べてみると、とにかく「占領」「難民」ってフレーズがあふれていて、
気の毒な人たち、というイメージもありました。

 

でも、2年前にネパールを旅した時、
たまたまチベット難民村を通りかかったんですが、
すごくきれいな街並み(村並み?)だったし、
出会ったチベットのお母さんたちは、
とても明るくて、人懐こく、
すごくたくましい生命力をお持ちでした。

正直、わたしのような、何も知らない外国人・通り過ぎるだけの旅人が
気の毒がるなんて、ちょっと失礼な気がしたくらい。

 

マニ車

 

そして、チベット人の言い分だけでなく、
中国人の言い分や、世界の情勢も考え合わせてみないことには、
門外漢のわたしは、この状況について、
軽々しく判断して言葉にするべきではない、
とも思っていたんだけども、

はからずも、今回、この紀行文に出会って、
ヨーロッパ人から見た、チベットの様子が垣間見えもしました。

 

これまで見てきた中国人の態度から、中国人全体を判断して、
良い印象を抱いていなかったわたしなのだが、
このジープの中国人のおかげでそれが偏見であることに気づいた。
彼らはわたしに、中国がチベットに対して行った良い面を思い出させてくれた。
医療の向上、道路の建設、封建制度の打破。
しかし、中国はチベットを吸収することにより何を得たのだろう?
封建制が崩壊したあと、その低迷した経済を立て直すのは
並大抵のことではなかったはずだ。
そこまでして中国が得たものは、世界各国からの非難、インドとの国境付近の微妙な緊張、
広大な核兵器の実験場、チベット人の憎しみ、
その程度しかないではないか。

(P268)

 

正しく判断するには、わたしにはまだ情報や知識が偏っているけれども。

そして何があったとしても、
やはり暴力や破壊行動は是とは思えないけれども。

 

チベットも中国も、
わたしも、あなたも。

生きとし生けるものが、幸せでありますように。

 

セムジュン・タムジュー・ラ・デワ・ヨンガショー

 

 

静寂はあらゆるものを浄化する

 

翻訳はこなれていて、すごく読みやすい、のに
なんかいつも読んでて眠くなる。

かわり映えしない風景と、感動の少ない毎日の描写。
荒野・砂埃・壊された寺・中国人は仕事しない、ビザがバレたら困る、
という記述のくり返し(笑)

正直、「この本つまんないなー・・・」と思いながら
読み進めたんですが(笑)

 

最後の最後で、
あ、この文章でいいんだ、と思えました。

 

何か月か経って、フィリッパの元に届いたカジの手紙には、
こう書かれていた。

「チベットにいる時には、二度とここへは来るまいと思っていました。
 ところが、大阪国際空港に着いたとたん、
 わたしはチベットに戻りたくてたまらなくなったのです。
 
 乾燥した土地、巡礼者、羊、ツァンパ、オオカミ(そうなんです、ラサに帰る途中で遭遇したのです)、
 親切なチベット人、汚れた服。

 すべてが、タルチェンで過ごした楽しい日々の思い出です。
 一生、忘れることはないでしょう。
 わたしたちにとって、最高の日々でしたね。
 そう思いませんか?」

(P346)

 

何にもない。

何にもない、が、どこまでも続く土地。
そんな場所、世界中のどこにもない。

 

空気中に水分が少ないため、肌を刺すように照りつける太陽は、
あたりの緑を様々な色に変えていく。
金茶色、珊瑚色、瑠璃色、金色と。
ウサギを含め、これらの景色は、ブレークが描いた世界を彷彿させた。

わたしたちは静寂の中を歩いていった。

静寂というのは、チベットの特徴の一つだ。
フォスコ・マライニはそれを、「四次元的空間」と呼んでいた。

「岩には黄土色の静寂が、雪を頂いた山頂には青緑の静寂が、
 そして、太陽を浴びてタカが旋回する谷には谷の静寂があった。
 静寂は、あらゆるものを浄化する効果をもっているようだ。
 歴史が始まって以来人類が失ってしまった太古の世界が、
 ここにはあった」

(P284-285)

 

どこに行っても音があふれていて、
音がまとわりつくような現代・・・

チベットにだけ残されている、根源的な静寂。
静寂は、あらゆるものを浄化する。

 

ああ、だから、行きたくなるのかもしれないですね、

もしかしたら、自分を取り戻すために。

 

 

 

 

プロフィール

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